ABSブレーキのフルード交換について
ABSのブレーキフルード交換についてメモしておく。
ブレーキフルードを4年間交換していない車両の整備を行ったさいに気がついたこと。
フロントレバーのタッチが渋い。タッチ自体は正常なのだが、動きが渋いというか重いのである。違和感を覚えた。
まず知らない人のために伝えておくと、ABS車両のフルード交換には注意事項がある。絶対にエアの噛んだ状態でメインスイッチをオンにしない。これは絶対だ。対策としてはメインスイッチのキーを抜いておくのがよいだろう。作業完了するまではメインスイッチに触らない。
さて、フルード交換作業自体にもお約束がある。負圧でフルードを抜かないことだ。理由は、ABSにはホースの一部に金属パイプが使われている。パイプはゴムホースやテフロンホースに比べると急な角度の部分があり詰まりやすい。ポンピングの圧力でフルードを抜き取るほうがよいだろう。
2年毎に必ずフルード交換をしていれば問題ないのだが、メンテナンスをサボっているとフルードが劣化して成分が固着してしまう。それが細い穴や経路に入り込めば詰まってしまうのである。
まさに今回作業した車両に発生したトラブルはフルードの劣化が原因である。新しいフルードを送りこむためレバーを握ると突然ロックして握れなくなる。少し時間を置いて握るとスカスカになる。さすがに今回はオーバーホールかと冷や汗をかいた。預かったときには普通に作動していただけに、ややこしいことになると思ったからである。
レバーを何度も握り込んでいくうちにタッチがまともになってきた。ほっと胸を撫で下ろした瞬間である。 新しいフルードで固着したカスを排出したのであろう、オイルラインが正常化した。最後にメインスイッチオンにして10キロ程度の速度で数メートル走行してABS警告灯の消灯を確認した。作業完了である。
たったの4年であってもABS装着車にはブレーキフルード無交換はシビアなのである。ちなみにHONDA純正ブレーキフルードは2輪用と4輪用がある。2輪用は主にゴムホース用だと聞いた。四輪は金属パイプ用だ。二輪でもABS車は四輪用のほうが良いのかもしれない。
さらに補足として付け加えると、HONDA純正ブレーキフルードは耐久性が高く安いのでおすすめである。いわゆるコスパがいい。
ABSの装着が義務化され、今後はこのような作業が増えるいっぽうであろう。
今までもABS装着車のフルード交換には最新の注意を払っているのだが、ノーメンテの車両を受けるときには予めリスクを説明するべきだったと反省した。